■ ローザンヌ留学記/小林 光助先生

ローザンヌ留学記

スイスのローザンヌにあります、ヴォー州立大学病院(Centre hospitalier universitaire Vaudois, CHUV)のVisceral Surgery(Nermin Halkic教授, Nicolas Demartines教授)で2年間臨床留学させていただきました。ローザンヌはスイスのヴォー州にあるフランス語圏の街で、レマン湖の北岸に位置しており、国際オリンピック委員会(IOC)の本部があることから、「オリンピックの首都(Olympic Capital)」とも言われています。
赴任当初はmédecine assistantとして勤務しましたが、その後Chef de Cliniqueに昇任し、臨床・研究・教育に従事しました。
主にHepatobiliary teamで肝および膵切除の執刀、助手をしましたが、Visceral SurgeryのChef de Cliniqueは救急当番時に全緊急手術のトリアージなども行い、麻酔科や他科の医師とも高頻度でDiscussionが必要でした。肝胆膵外科および一般外科の緊急手術合わせて年間300例程度の手術を担当しました。
また、médecine assistantや学生の臨床・研究指導にも従事し、私自身がスイスの医療を学ぶのと同時に、日本式の術前評価・術後管理も指導することで、assistantの知識が短期間のうちに向上していくことが肌で感じ取れました。
研究においては、まだ日本では馴染みがない術前の肝静脈塞栓術に関する後ろ向き研究や、凝固障害を伴う肝切除の多施設研究、アルコール性およびウィルス性肝硬変を伴う肝切除症例の肝機能や周術期結果を比較した前向き研究などに取り組みました。
ローザンヌは住みやすい街rankingで世界1位に選ばれたこともあり、CHUVはNewsweekのglobal ranking of hospitals では世界9位(2019年)に選ばれています。そのような素晴らしい環境で2年間様々な仕事に従事できたことは、私や家族にとってかけがえのない財産となりました。この場を借りて深く御礼申し上げます。

小林 光助先生

■ 留学体験記/山口 教宗先生

この度、スイス・ローザンヌのボー州立大学病院(CHUV:Centre Hospitalier Universitaire Vaudois)の腹部外科・肝胆膵チームにてNermin Halkic教授・Nicolas Demartines教授のもと、臨床留学をさせて頂きました。
身分はmédecine assistantであり日本における後期研修医にあたります。病棟管理・外来および手術助手が主な業務でした。勤務はチーム制であり、17時半以降は病棟当直医に申し送りをして帰宅する権利があります。また週末は完全に当直医が業務を行います。ただし週末は80人程度の入院患者を2名の病棟担当医で担当するため、かなり詳細な申し送り・準備が必要となります。当初は日本との文化の違いから苦労しました。チームプレーおよび臨床で得られる達成感を共有することの大切さを深く実感しました。
実務では、加えて当科の特色である術前肝容量測定や術前シェーマの作成を肝胆膵症例においてほぼ全例で行い、手術適応決定・術中の解剖認識に貢献しました。関連して、術後肝容量の再生および膵頭十二指腸切除における肝動脈の外科解剖についての研究・論文執筆を致しました。またNermin Halkic教授・Nicolas Demartines教授のご好意のもと、膵頭十二指腸切除9例、肝切除8例の執刀をさせて頂きました。
二年半の間海外の大学病院で臨床医として勤務し、文化・ルールの違いや利用できる資源の制限に対し必死に適応しようとした経験は、得難いものであると実感しております。留学にあたり御助力・御指導を賜りました國土典宏名誉教授、長谷川潔教授に深く感謝致します。

山口 教宗先生

  • Nermin Halkic教授と
    Nermin Halkic教授と
  • Nicolas Demartines教授と
    Nicolas Demartines教授と
  • 同僚と
    同僚と
  • 病棟看護師さん
    病棟看護師さん

■ 留学体験記/山下 俊先生

留学について

2015年9月から、Texas州HoustonにありますUniversity of Texas MD Anderson Cancer CenterのSurgical oncologyにおいて、Jean-Nicolas Vauthey教授の下、Postdoctoral fellowとして、臨床研究に取り組んで参りました。
一般的な基礎の教室とは異なり、Postdoctoral fellowが常時1人か2人と少数であり、Vauthey教授から直接的な指導をほぼ連日受けられるという大変恵まれた環境の下、濃密な時間を過ごすことが出来ました。また、他のattendingの先生方も、斬新なprojectに積極的に誘って下さり、想像以上にintellectualの面でハードな日々でした。
特に大腸癌肝転移の手術患者さんにおいて、ほぼルーチンで行われる数十~数百項目に及ぶGenotyping検査には大変驚かされ、molecular biomarkerの面では、既に膨大な情報を有する先進的な施設であることが認識できました。一方で、術前の腫瘍進展の正確な把握や、手術自体の確実性、術後のフィードバックなど、日本の肝胆膵外科医のこだわりの深さによる安全かつ根治的な手術の実践は、独自の優越性であると再認識できました。多くの論文査読をVauthey教授とともに行うことで、肝胆膵外科分野において、既に存在する知見、knowledge gap、hot topicを常に意識する姿勢が育まれました。
1年という大変短い期間ではありましたが、私と家族にとって大変多くのことを学ぶことのできた有意義な時間でありました。

山下 俊先生

■ ローザンヌ留学記/國土 貴嗣先生

留学について

スイス、ローザンヌにありますボー州立大学病院(Centre hospitalier universitaire Vaudois, CHUV)の消化器外科(Nermin Halkic, Nicolas Demartines教授)にて一年間留学させていただきました。
欧州では日本と比較して肝細胞癌の症例はほとんどなく、膵癌と大腸癌肝転移が肝胆膵手術の大半を占めています。スイスではスタッフであるChef de cliniqueの他は初期研修医を含めmedecine assistantと呼ばれ、そのmedecine assistantとして手術、病棟業務に一年間従事いたしました。
また日本では通常行われていない肝胆膵手術の肺塞栓予防目的の周術期抗凝固療法の有用性を検証する研究を行いました。
最初はフランス語の壁が厚く苦労いたしましたが、終わってみますとあっという間の一年でした。欧州と日本の外科における常識の違いを学ぶことができ、大変有意義な一年間を過ごすことができました。
ありがとうございました。

スイス ボー州立大学病院
國土 貴嗣先生

■ ボルチモア留学記/成瀬 勝俊先生

留学について

私は、東京大学のInternational Training Programにより、ボルチモアのJohns Hopkins大学移植外科に半年間留学し、RNA干渉による肝移植後C型肝炎の再発防止の研究を行いました。
一方、膵島移植を勉強する目的で、テキサスのBaylor大学で慢性膵炎に対する自家膵島移植の臨床を見学したほか、Miami大学やLAのCity of Hopeにも足を伸ばして、各種動物の膵島分離技術を修得しました。蟹の名産地であるChesapeake湾に面する風光明媚な米国東部の古都ボルチモアで充実した時間をすごす一方、せわしく移動もした私を温かく見守ってくださったJohns Hopkins大学移植外科の先生方には大変感謝しています。
40代後半の初留学でしたが、大変貴重な経験を得ることができ、ご理解、ご援助いただいた東京大学医学部肝胆膵・人工臓器移植外科の先生方にも厚く感謝いたします。

成瀬 勝俊先生

■ 留学報告/岸 庸二先生

留学について

この度、M.D. Anderson Cancer Center の Liver Tumor Study Group、Jean-Nicolas Vauthey 教授の下で一年間留学して参りました。
肝細胞癌や胆道系腫瘍の切除症例はそれほど多くなく、ほとんどが大腸癌肝転移の症例でしたが、日本では通常部分切除となる症例でも、右肝切除、左肝切除としているところに驚きました。従事していた主な仕事は、データベースをテーマに基づいてまとめ、論文作成をするというもので、地道なデスクワークでしたが、日本では学ぶ機会の少なかった、大腸癌肝転移に対する術前化学療法の効果、および、その副作用について多くを学びました。
また、正常肝での肝切除適応基準を、「残肝容積が標準肝容積の20%以上」としており、これを検証するStudyにも大変興味深く携われました。
一年間は過ぎてみればあっという間でしたが、さまざまな違いを学べた、有意義なものでした。

岸 庸二先生

■ 留学報告/三瀬 祥弘先生

留学について

2013年9月から1年間、MD Anderson Cancer CenterのSurgical Oncologyにresearch fellowとして留学し、Jean-Nicolas Vauthey教授のご指導の下、主に大腸癌肝転移に対する肝切除症例を対象とした後ろ向き臨床研究に取り組みました。
以前当科に見学に来られたClaudius Conrad先生や膵グループのMatthew Katz先生など、色々な先生方とコラボレーションする機会を頂き、全米屈指のがんセンターで行われている肝胆膵外科治療に深く接する事が出来ました。アメリカ医療の効率の良さは目を見張るものでしたが、同時に日本の肝胆膵外科の質の高さを外から実感できたことは大きな収穫でした。
国外に出ることで世界の癌治療の潮流を肌で感じることができ、また俯瞰して自分の国を見る機会が得られ、1年という短い期間ではありましたが非常に有意義な留学生活を送ることができました。

三瀬 祥弘先生